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2017年5月

2017年5月19日 (金)

2017年5月18日参議院環境委員会質疑応答の概要1(JTEF作成)

公式の議事録は後日参議院のページで公開されます。

質疑内容1 (渡辺美知太郎 自由民主党・こころ)
国内の象牙の密輸ロンダリングであったり違法な象牙取引があるならば、参考人が把握をされている範囲でよろしいので、どれぐらい行われているのかお答えできる範囲でお願いします。

応答内容1
文字通り『密輸』ですので、実態はわからないわけです。ただ、私どもトラ・ゾウ保護基金が税関に対して情報公開請求によって得た、国際郵便物を使った象牙の密輸情報によりますと、一昨年アフリカのジンバブエやナイジェリアから象牙が国際郵便に忍ばせられて、継続的に輸入されてきていました。この継続的ということから考えても組織的なものだと思われます。この国際郵便物を使った密輸の手口は最近注目を集めています。大規模な象牙の押収が続いたことから、密輸業者が発覚のリスクを避けるため、郵便物を使うようになったのです。中国ではこの点を重視し、郵政省が積極的な対策を取り始めていると聞いています。

 

質疑内容2 (渡辺美知太郎 自由民主党・こころ)
現在の違法取引の現状、大幅な規制によって経済にどのような影響があるか。

応答内容2
軽微だと考えます。
日本では未加工象牙の8割がハンコに加工されます。つまりハンコが主要な象牙製品となっています。ハンコについては、柘植などの木製、家畜の牛や水牛の角、宝石印、最近で人気のあるチタンなど多様な素材があります。したがって、象牙が禁止されたとしても小売業者、卸売業者に大きな打撃になることはなく、あるのは象牙のストックを持つ一握りの製造業者だけです。したがって、国内象牙市場閉鎖の日本の市場経済に与える影響は軽微と言えます。

 

質疑内容3(浜野喜史 民進党・新緑風会)
私は、今回の改正法案が参考人の提案の趣旨をある程度反映しているのではないかと思っておりますが、改正法案についてご提案に「沿う」ような提案がなされないとすれば、その事情をどのように分析しておられますか。

応答内容3
今回の改正法案が、私の提案した内容をまったく反映していないことはクリアーです。種の保存法による象牙の国内取引規制は、3つの柱からできております。1つ目は、一つ一つの象牙の取引を原則禁止し登録を受けた場合に限って取引を認める、国内取引規制。2つ目は、象牙を扱う業者に対する監督制度、3つ目は、製品の認定制度です。私が今回提案していること、条約決議が求めていることでもありますが、それは国内取引規制の強化です。一方、今回の改正法案は、2つ目の業者の監督制度だけに限定されたものです。
 なぜ、政府が私の提案する国内取引規制に手を付けない理由は、環境大臣が答弁されているように、日本の国内象牙市場は条約決議が勧告する閉鎖の対象にならない、という前提に立っているためだと思われます。

 

質疑内容4(浜野喜史 民進党・新緑風会)
環境保全全般について、問題意識を持っているところがあれば意見をお聞きしたい。

応答内容4
大変広い観点からのご質問です。1つは、市民参加という課題です。今回の改正法案で、指定種の国民提案制度が法定化されようとしていることは大きな前進だと思います。市民参加で重要なことは、市民を単なる情報源としてみるのではなく、情報をもって意思決定に参加していく権利を持っているという認識でそれを進めていくことだと思います。2つ目は、科学的知見の反映とその基礎となる調査研究の充実です。いざ事が起きたときに、パブリック、プライベート含めてそれぞれの研究機関が蓄積したデータを要求するというのではなく、そのような調査研究体制を支援し、日常的にデータがあがってくるような形が望まれます。

 

質疑内容5(若松謙維 公明党)
禁止前に日本に輸入され、国内にため込まれた象牙についてどのようにすればよいか意見をお聞きしたい。

応答内容5
国内で所有されている無登録象牙の量に関する資料ですが、出典が環境省とされているものの、データの根拠が不明です。そもそもそのようなデータが存在するはずがありません。と言いますのは、象牙輸入禁止前に輸入された象牙の量は日本貿易月表やワシントン条約年次報告書から把握することができますが、輸入されたもののうちどれだけを加工して使ってしまったかについてのデータが存在しないためです。 

次に、量は不明だが多少の無登録象牙があるとして、それをどうするかということです。実は、これら輸入禁止前の象牙も、多くは条約の手続きに違反して輸入許可されたものでした。日本についてワシントン条約が発効したのは1980年11月であり、それ以降1990年の輸入禁止発効まで、つまりおおむね1981年から1989年までの9年間、日本は条約の規制の下で象牙を輸入していました。アフリカゾウは当時条約の附属書Ⅱの掲載種でしたので、象牙の輸出に際しては輸出国による輸出許可書の発給が義務付けられています。

ところが、当初日本は、この輸出許可書以外の書類の提出によって輸入を許可していたため、国際的な非難を浴びたという経緯がありました。そこで、1985年4月1日に、当時の通産省が輸入手続を改めて、以降は条約上の輸出許可書の提出がされない限り輸入を許可しない扱いとしました。つまり、この9年間のうち、1985年3月までの象牙輸入は、実質的にはワシントン条約に違反していたということであり、その量を試算すると、9年間全体の70%に及びます。資料の図で赤く塗った部分です。
 このように、条約に違反して輸入許可してしまったものについて、登録を推進することは不適切だと考えます。このような象牙も、持っている限りは規制は及びませんので、家宝としてでもお持ち続けられればよいと思います。

 

質疑内容6(武田良介 日本共産党)
日本の市場は、閉鎖決議の対象かどうか

応答内容6
1705186_2 環境大臣は、4月11日の衆議院本会議において、「これまでわが国では象牙の大規模な違法輸入は報告されておらず、条約のもとでの報告においても我が国の市場は、密猟や違法取引に関与していないと評価されている」と答弁され、日本の象牙市場は閉鎖決議の対象外、との認識を示されました。

問題は「日本は密猟や違法取引に関与していない」からという、その理由です。カラー資料6頁(右記の画像)の市場閉鎖決議第3段落の文言をご覧ください。「密猟または違法取引の一因となる、合法的な国内象牙市場」とされています。つまり、象牙の違法取引の一因となっているだけで、その市場は閉鎖対象ということになります。

1705188 そこで現実をみますと、日本では2011年以来、警察による無登録象牙の違法取引の立件が後を絶ちません。カラー資料8頁(右記の画像)をご覧ください。種の保存法違反事件全体の伸びと比べても、それ以上に象牙関係の種の保存法違反事件が伸びています。その多くは、近年日本の象牙市場を活性化しているインターネット取引によるものです。この新しい取引プラットフォームを使った象牙の違法取引が日本の国内市場で活発化しているのです。

また、近年日本から中国への象牙の密輸出が何件も中国の税関、警察によって摘発されています。2年にわたって3トン以上の象牙を日本から中国へ密輸し、中国の裁判所で中国人夫婦が懲役15年の刑を宣告された例もありました。
こうした事実があるにもかかわらず、なぜ日本の象牙市場は違法取引に関係していないと言い切れるのか、理解に苦しむところです。

2017年5月18日参議院環境委員会質疑応答の概要2(JTEF作成)は下記URLから

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2017年5月18日参議院環境委員会質疑応答の概要2(JTEF作成)

公式の議事録は後日参議院のページで公開されます。

質疑内容7(武田良介 日本共産党)
陳述の最後で、種の保存法でなすべき象牙の国内取引に対する規制強化として、4点をあげられました。いずれも今回の改正法案ではまったく対応されていない点ということだと思いますが、これらの点について現行法上はどうなっているのか、またそれを具体的にどのように変えたらよいのかを説明していただきたい。

応答内容7
まず第1の点(規制対象を象牙全般に広げて、その取引を原則禁止にすること)については、現行法上は全形が保持された牙、つまり基本的に分割されていない全形牙のみが規制対象とされています。
その結果、例えば全形牙が2つに分割されると、たちどころに規制の対象外になってしまいますし、牙を分割・加工して作られた製品は当然すべてが規制の対象外です。

これらの様々な形態の象牙の一切を規制の対象に含めるというのが取引規制整備の第一歩となります。
次に第2の点(登録を条件に例外的に取引できる品目を厳正に絞り込むこと)については、現行法上は、そもそも規制対象が全形牙だけですので、それが登録の許される象牙となっております。
しかし、先ほど申し上げたように一切の象牙を取引規制の対象とした場合、必ずしもそのすべてに例外的な取引の機会を与える必要はありませんし、そのようなことをしては市場閉鎖決議が「狭い範囲での例外」しか認めていないことと矛盾します。そこで、登録を条件に取引を許す象牙を絞り込む必要があります。

次に第3の点(登録を許す品目ごとに登録要件、つまりどのような条件がそろえば登録を受けさせるかを定めること)については、現行法上、象牙の場合に当てはまる可能性がある登録要件は、ワシントン条約による規制前、つまり1990年以前に日本に輸入したか、または日本国内で取得したもの、という要件です。
しかし、登録対象が例外的に取引を許す象牙だけ、ということになりますと、登録要件もそれらの象牙のタイプに応じて、細かく定める必要があります。例えば、アンティークであれば、製作後100年以上経過したものであるなどです。

次に第4の点(象牙が登録申請されたら、登録機関などの公的機関が、本物かどうかの真贋鑑定を行い、登録要件が満たされているかどうかを客観的な証拠に基づいて審査し、登録を行う場合は個体識別を行って、象牙と登録票の両方に共通のマーキングを行うこと)については、現行法上、登録機関は、真贋鑑定を行う権限はありません。個体識別とマーキングについては、改正法案において不十分ながら一定の仕組みは設けられていますが、生きた動物への適用しか想定されていません。

また、現行法上の登録要件の審査、つまり1990年以前に取得したという要件の審査は、非常に問題です。規制適用前の取得であることの、申請者以外の第三者による証明、つまり知人や家族などの一筆を受理して、それで登録を認めてきたのです。これでは、いわゆるでっちあげが簡単にできてしまいます。2015年には2100本以上の全形牙が、1990年以前に取得したものだとして、新たに登録されておりますが、このような大量登録がなされる背景にあるのが、登録審査の緩さです。
先ほど述べたアンティークなどの象牙のタイプに応じて新たに定められた登録要件の審査は、客観的かつ公的な証明に基づいて厳正に行われる必要があります。

 

質疑内容8(武田良介 日本共産党)
改正法案に盛り込まれた業者の監督強化の実効性について

応答内容8
改正法案による業者に対する監督強化のもっとも大きなポイントは、次の3点です。
第1に、届出制に代わる登録制の適用により、事業登録時およびその更新時に登録拒否事由の確認が行われることです。これは、適正な管理を実行できる業者の選別を狙ったものです。

17051810 第2は、現行法上任意の制度とされている管理票作成を義務化したことです。カラー資料の10頁(右記の画像)をご覧ください。 登録業者が、適法に取得した象牙を分割して新たな分割牙を得た場合は、その入手経緯を記載した管理票を作成することを義務づけられます。 さらに、その分割牙を譲渡する際は管理票とともにすること、手元には管理票の写しを保存することを義務づけています。つまり、登録業者に分割と取引の経過を記録・保存させるわけです。

この管理票の仕組みは、全形牙のように一本、一本が規制されていない分割牙についても一定のトレーサビリティーを確保することを狙ったものです。

第3に、登録事業者に対する厳しい行政処分の権限を定めました。これまでの届出業者に対する「指示」は「措置命令」に格上げされ、業務停止命令も期間の上限が3か月から6か月に延びました。発令事由も広くなっています。さらには、事業の禁止をもたらす登録取消も導入されました。

1705189 これらの措置により、象牙業者の日々の業務の中で、密猟象牙や出所不明の象牙が排除されていくことが期待されているわけですが、残念ながら、実際にはそのようなことは起こらないと思われます。
カラー資料の9頁(右記の画像)をご覧ください。さきほど申し上げた第1の事業登録時およびその更新時に登録拒否事由の確認が行われるという点についてですが、改正法案の附則によれば、新法施行の際、既に旧法にもとづいて届出をしている業者は、施行日に事業登録を受けたものとみなされ、登録事業者に自動移行することとされています。登録拒否事由をチェックされるのは最初の登録更新時、早い業者で改正法施行日から1年6か月後、その他の業者については施行日から3年後となります。

調査室資料96頁 資料16によれば、現在届出を行っている業者は、   約1万4000以上ということですが、その大部分の業者がチェックされるのは、今からカウントすれば約4年後ということになるわけです。これでは、適正業者の選別はずいぶん先のことになります。

登録拒否事由のチェックがこれだけ先になってしまうと、当然駆け込み届出が増えます。さきほどの資料16によれば、2016年の届出数が2015年から倍増して、1000件以上の届出となっていますが、一部駆け込みが含まれると想像されます。今から施行日までの1年の間にさらに駆け込み届出が増えるでしょう。

再びカラー資料の10頁をご覧ください。第2の管理票作成の義務づけによる分割牙のトレーサビリティー確保の問題についてです。
まず、個々の分割牙のトレーサビリティーを確保するためには、それぞれの分割牙を何らかの方法で識別できなければなりませんが、そのための措置が改正法案には定められていません。その結果、同じような部位から切り出した、同じ重さの分割牙どうしは管理票の記載からは区別がつかず、管理票の付け替えをしても、まず露見することはありません。赤枠内に①と記載した問題点です。

また、分割牙を譲渡する際は管理票と共にするよう義務付けるといっても、すべての分割牙についてではありません。改正法施行時に既に分割されていた牙は分割時に管理票が作成されていません。そこで、改正法案は、そのような分割牙を譲渡する場合には、管理票は不要としました。しかも、この扱いに期限はありません。このように、管理票が添付されていない分割牙を合法的に流通させることは、そこに違法な分割牙を紛れ込ませる、大きな法の抜け穴を作ることになります。赤枠内に②と記載した問題点です。

さらに、分割牙のトレーサビリティーの確保・監視においては、タイムリーな追跡情報の把握と分析が必要です。しかし、管理票の作成・移動・保存はすべて登録業者の手元でなされますので、その実態は主務官庁には可視化されません。赤枠内に③と記載した問題点です。それにもかかわらず、改正案には、管理票の写しを譲渡しのごとに提出させたり、短期のスパンでまとめて定期報告させる仕組みの定めがありません。

17051811 最後に、第3の行政処分の強化についてです。
確かに、かなり厳しい行政処分のメニューとなりました。しかし、主務官庁が、登録業者に対して、それだけの厳しい行政処分を実際に行うかどうかについては相当疑問です。資料11頁(右記の画像)をご覧ください。

現行法上の拘束力が弱い「指示」ですら、1995年の制度施行から21年以上の間、実績がありませんでした。2016年9月と2017年3月の2件だけです。業務停止命令の実績は1件もありません。従来よりはるかに厳しい行政処分が実際に執行されるかどうかについては大きな疑問があります。

 

質疑内容9(石井苗子 日本維新の会)
科学機関を法定化するという内容が、今回の改正法案では重要だと考えています。偏った人選になることなく、フィールドの情報などが広く出されるべきだと思います。また、NGOの人達も反対意見をきちんと述べられるような場を作り、テーブルに着くことができるようにした方が良いのではと思うのですが、どう思いますが。

応答内容9
おっしゃる通りだと思います。まず、生物多様性の保全、絶滅の恐れのある種の保存に当たっては、その種がどのような状況に置かれているのか、なぜなのか、どのようにすれば問題を解決できるのかについて、種の側に立って状況を把握分析することが必要です。そのためには、アマチュアの収集したフィールド情報をしっかりとデータに反映できるようにすることが重要と考えます。科学機関では純粋な科学的判断が行われるべきですが、それだけで判断できないのが政策課題です。政策課題を議論する場では、社会問題に取り組んできたNGOの役割が重要だと思います。大きいところから小さなところまで、さまざまな意見がテーブルに乗ることが重要だと思います。

 

質疑内容10(石井苗子 日本維新の会)
どうしてゾウは殺さなければいけないのか、麻酔銃ではいけないのか。 象牙は、ハンコ以外になにに使われているのか。象牙密猟が安全保障の問題でもあるというのはどういうことか。

応答内容10
>密猟者はお金が目的で象牙を採取します。したがって、効率的、安全に行動します。麻酔銃を使うには、適切な量でなければいけませんし、技術が必要です。失敗すると地上最大の動物であるゾウの反撃を受け、踏まれて死んでしまうおそれがあります。したがって、そのようなリスクを負うようなことは致しません。ゾウを群れごと自動小銃で殺します。そして、象牙はゾウの門歯ですので、頭骨から切り離すのが大変です。そこでチェーンソーで頭を切断し、象牙を採取します。

 日本では未加工象牙の8割がハンコに加工されます。それ以外にはアクセサリーや、小さいものは根付から大きいものは観音像といった調度品、そして邦楽器の部品、三味線の撥や琴の弦を支える琴柱などです。象牙の用途は国によって様々で、中国では大小の調度品が中心です。

象牙取引と安全保障の関係については、スーダンにおける人間の大虐殺に加担した民兵組織が、北スーダン国境の外側でゾウの密猟を行い、資金源にしているとか、テロ組織アル・シャバブとソマリアの犯罪ネットワークが、現地の治安部隊から横流しを受けた武器を使ってゾウを密猟し、資金源としているといった報告が様々あります。

2017年5月18日参議院環境委員会質疑応答の概要1(JTEF作成)は下記URLから

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