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2016年1月

2016年1月26日 (火)

ワシントン条約常設委員会レポートまとめ

Dsc_0011
ワシントン条約常設委員会は1月15日に終了しました。
後半ではタツノオトシゴが議題に上がりました。
ゾウだけでなく様々な生きものが国際取引によって影響を受けています。


JTEF坂元事務局長が現地からお届けした第66回ワシントン条約常設委員会関連ツイートをまとめました。
下記よりご覧ください※PDFファイルになっています。


「ワシントン条約常設委員会レポート」は下記よりご覧ください
ワシントン条約常設委員会レポート 開催前~1月12日
http://jtefblog.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/112-62ab.html


ワシントン条約常設委員会レポート 1月12日~1月13日
http://jtefblog.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/112113-8c85.html


1月23日にJTEF虎ノ門事務局で行ったJTEF総会にてワシントン条約常設委員会の報告を行いました。
この時に使用した資料は下記よりご覧ください※外部サイトに飛びます。
https://www.slideshare.net/secret/w7lxA5j1iPW2rm

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2016年1月15日 (金)

ワシントン条約常設委員会レポート 1月12日~1月13日

■1月12日 ワシントン条約常設委員会でゾウの議題が審議された。Dsc_0012_2
○議題は大きく二つでした。
1つ目は「ゾウの保全、密猟および象牙取引について」という議題、
2つ目は「国別象牙行動計画の進捗」という議題でした。

○「ゾウの保全、密猟および象牙取引について」について
この議題の審議は、ほとんどが条約事務局から提出されていた書類に基づく報告でした。以下がその概要です。


・最新の情報に基づくアフリカゾウの個体数は、国際自然保護連合IUCNによる10年ぶりの報告書が今年中に公表される予定です。現在入手可能なデータによれば、2013年時点の個体数は2006年公表のIUCN報告との比較で、データに信頼がおけるアフリカのすべての地域でゾウが減少していることが示されています。確実な数とおそらく生息するだろうという数を含めても47万頭で、8万頭ほど減少しています。

 

・密猟は2006年以来急激に増え、2011年にピークに達し、わずかに減りましたが依然として大量の密猟が2012~2014年と継続しているという状況です(発見されるゾウの死体の6割以上が象牙目的で殺されたものと推定されている)。

・違法取引された象牙の世界での押収量は、2007年以降急激に増え、データがまとまっている2013年まで増え続けています。

 

○「国別象牙行動計画の進捗」の議論内容。
12日11時、「国別象牙行動計画」の議題について議論が始まりました。


この計画制度は、各国によるゾウに関するワシントン条約の国内実施を確保するため、象牙の違法取引へのかかわりがある国を「主要な懸念国」、「二次的な懸念国」、「重要監視国」の3つのカテゴリーに分け、「主要な懸念国」には「国別象牙行動計画」の策定を勧告し、その達成状況を条約会議で検証していく仕組みです。「主要な懸念国」に指定されると、計画の策定を義務付けられ常設委員会(事務局)による達成状況の評価が行われます。

 

 2013年の締約国会議CoP16では、中国、香港、ケニア、マレーシア、フィリピン、タイ、ウガンダ、タンザニア、ベトナムの8国+1地域が指定され、今回の常設委員会でその「国別象牙行動計画」の達成状況の評価が行われます。そして、9月にヨハネスブルグで開催される締約国会議CoP17では、改めて「主要な懸念国」、「二次的な懸念国」、「重要監視国」が選定しなおしになります。

 

 日本では、2006年以来、大型の密輸象牙の押収が報告されていないため、現在は「重要監視国」へ指定されており、自国の行っている象牙取引の規制状況と象牙の在庫量等を報告するだけにとどまり、条約会議からの評価を受けることはありませんでした。

 

 しかし、今回のEIAの調査結果の公表により、違法象牙を日本国内市場から排除する効果について疑問が呈されたことから、日本の象牙取引規制について政府代表・NGOから、日本政府からなされている象牙取引の規制状況と象牙の在庫量の報告は実態を反映していないのではないか等の質問がなされ、日本の釈明が求められる可能性が出てきました。日本政府の対応によっては、CoP17またはその後に日本のカテゴリーが「二次的な懸念国」、「主要な懸念国」に引き上げられ、条約による厳しい監視を受けるように推移する可能性も否定できません。

 

審議では、多くの国が国別象牙行動計画の進捗状況と今後の進め方について意見を述べましたが、その中で米国は、「日本は象牙の登録制度を再検証し、その結果を報告すべきである」と求めました。この指摘は、おそらく、この間EIAが日本の登録制度の調査結果を発表し国際的に報道されている内容が信頼できるものだと判断したためでしょう。

 

これに対して、日本は2点コメントがあるとして発言しました。

 

(環境省から)米国のコメントに関してだが、あるNGOがホール・タスクの登録について調査結果を報告している、そこでは近年の象牙登録量の増加が指摘されているが近年密輸の増加は確認されていないので象牙の登録量の増加と違法象牙の結びつかない、日本政府は国内象牙市場の規制を立ち入り検査を行うなどして適切に規制を行っていると発言しました。

 

(経産省から)前回の65回常設委員会における報告の誤りについて説明がありました。これは、象牙のカット・ピースの量の誤りについてであり、2014年5月8日時点でのカット・ピース(端材を含む)の在庫は合計約204トと報告していたが、正しくは約54トンだったということでした。 

 

桁違いの訂正は驚くべきことですが、それ自体日本政府のデータ管理のあり方に疑問を持たせるものでした。

 

日本政府は、審議の前に、「アフリカゾウの保全および象牙取引に関する日本の見解」という情報文書を条約事務局に提出し、回覧していました。

 

 そこではまず、基本的な見解として、合法に得られた象牙取引は、アフリカゾウを「種」として保全しつつ(個々の国、地域のゾウの個体群のすべてを保全することまでは必要ないという考え方を示唆)、地域開発に役立つと主張しています。

 

その上で、日本の規制の仕組みの説明、最近税関で発覚した象牙の押収が少ないこと、象牙を切断したとして登録票が返納された件数が少ないので消費が増えていないという主張をしています。その上で、近年の登録の増加は、法律の普及が進んだために、象牙の所有者が自発的に登録するようになっていることと、最近象牙所有者が死亡しその相続が増えているからだと主張しています。登録制度の中身の問題については、一切触れられていません。そして結論としては、これまでどおりワシントン条約の履行に努めると述べるだけで、新たな対策をとうることは何も示されていません。

 

 9月にヨハネスブルグで開催される締約国会議CoP17では、改めて「主要な懸念国」、「二次的な懸念国」、「重要監視国」の見直しが行われます。その前提として、見直しに向けた各国の今後の取り組みについても報告されることになります。

 

 米国から指摘を受けたことについて日本が無視するのか、何らかの行動を検討するのかが注目されます。


■1月13日 香港政府が象牙に関する重大発表を行いました。
香港政府が、(ワシントン条約で例外的に許されている)正規にハンティングしたゾウの牙を含めたすべての象牙の輸出入を禁止し、さらにすべての象牙の国内販売を無くすと宣言しました。
このところ、香港は、(日本も同様なのですが、)登録が形ばかりのものであるため、登録象牙を加工に使ってしまった後は新たに入手した密輸象牙を登録されていたものということにしてロンダリングする、という手口が横行していたのです。香港にも多数の関係業者がいる中での勇気ある決断でした。

EIAも香港政府の発表を受けて緊急のプレスリリースを行いました。

○香港政府の発表に対してのJTEF事務局長坂元のコメントです。
香港における大量の在庫象牙の管理のあり方は大きく問題視されてきました。昨秋、NHK香港支局もニュースで取り上げました。(実は日本の登録制度でも同じなのですが、)登録時にマーキングがなされないため、登録した牙か、すり替えられた違法象牙かの区別ができません。正規に登録した牙を加工した後には、新たに密輸した牙を登録してあった牙ということにして在庫を維持する手口が横行していました。香港は、違法象牙のトランジット港となっていることもあり厳しい目を向けられていたのです。

 

しかし、毎年3万頭の密猟が続く中、大消費国・トランジット国であるタイ、米国、中国に続き、ついに香港が象牙の国内販売をやめる政策決定をすることになりました。
これで日本の対応の特異さは、またいっそう際立つことになります。日本にとっても、自国産業の利害に固執して国際的な孤立を待つのでは外交的に相当なダメージです。生物多様性の保全、テロ資金の給源ともなっている野生生物犯罪の撲滅、アフリカ途上国による密猟との戦いの支援のため、国際社会と歩調を合わせ、思い切った政策決定をすべきときが近づいていることが肌で感じられるようになってきました。


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以下は期間中にJTEF坂元事務局長が撮った写真です。


※EIAのAllanさん(右)とDaielleさん(左)
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※会議の合間に開かれる野生生物犯罪セミナー。ワシントン大学のワッサー教授が押収象牙をDNA鑑定して殺されたゾウの生息地を突き止める技術の発展について発表中。
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※国連開発計画のバナー
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ワシントン条約常設委員会レポート 開催前~1月12日

1月11日からスイスのジュネーブで開催されているワシントン条約常設委員会にJTEF坂元Dsc_0011_21_2 事務局長がオブザーバーとして参加しています。

開催されてから3日がたち様々な動きがありました。
開催前から12日までの動きをまとめてお伝えします。

■開催前の動き
・日本の象牙取引の秘密調査でJTEFが技術的助言を行った、環境調査エージェンシー(EIA)が「日本政府指名の国内象牙市場の規制にかかわる機関の担当官が、象牙の違法取
引を助長している。」ということについてプレスリリースを行うと発表しました。
プレスリリースの詳細については下記をご覧ください。

■日本からの参加者
○日本のNPO/NGO
・JTEF坂元事務局長
※他に日本のNPO/NGOからの参加者は見当たりませんでした。

○日本の象牙取引関連の参加者
・「日本象牙美術工芸組合連合会」から2名(+通訳1名)
※補足
 業界からのワシントン条約会議参加費は、通常、経済産業省紙業服飾品課所管の「べっこう産業等救済対策事業費補助金」の「ワシントン条約対策委員会及び関係国際機関等派遣(旅費等)」から支出されています。
 参考URL:http://www.bekko.or.jp/gaiyo/hojo.html

 「ワシントン条約対策事業」の内容は以下の通りです。
 参考URL:http://www.bekko.or.jp/gaiyo/keikaku.html

1.ワシントン条約等対策委員会
 ワシントン条約に関する諸対策を適切に推進するため、ワシントン条約等対策委員会を開催する

2.原産国派遣事業(象牙組合)
 象牙の管理状況を調査し意見交換を行うとともに、象牙の円滑な取引について検討を行うため、象牙の原産国に専門家等を派遣する。

3.関係国際機関等派遣事業
 ワシントン条約に関する情報の収集 及び タイマイ等の国際取引の再開に向けて、関係国際機関等へ役員等を派遣する

■1月11日 午前10時30分より、ワシントン条約常設委員会が開催。
Image1_2 ■1月12日 ワシントン条約常設委員会でゾウの議題が審議された。
○審議の前に日本政府が「日本の見解」という文書を配布しました。
 文書には下記のように書かれています。
 「日本の立場としてアフリカゾウが「種」のレベルで守れるなら象牙取引するのが望ましいことだ」

■1月12日 17:40 - 18:45 (ジュネーブ現地時間)EIAの記者会見

 常設委員会会場(Centre International de Conferences Geneve) Room18
 会見は事前のプレスリリースの内容にそって発表が行われました。
 またJTEF坂元事務局長が下記のとおりコメントしました。
「日本の法律家としては遺憾に思うが、EIAは重要な事実を指摘したと言わざるを得ない。

自然研がEIAの調査員に助言した行為は、それが実際に実行されれば違法になると考えられる。

虚偽の取得日にもとづいて登録を請ければ虚偽登録であり、登録すべきホール・タスクであるのに無登録のまま譲渡すれば無登録譲渡であり、ともに違法行為である。そして、そのような助言をした自然研担当者は、虚偽登録や無登録譲渡をそそのかすようなものであり、厳しい批判に値する。

Image2_2

ここで法制度的観点から、問題点を2つ指摘しておきたい。

第1は、そもそも、登録要件を確認するための書類として、法令は何を求めているかである。

提出が義務付けられているのは、申請書、写真、そして象牙の取得者作成の取得経緯を説明した文書の3点である。象牙取得者の説明を裏付ける証拠は、法令上要求されていない。

ここが最大の問題である。登録機関が強い態度で取得日を裏付ける客観的な証拠の提出を強制できないのは、法律の根拠がないためである。日本政府は法令を改正して、客観的な証拠の提出を義務付けるべきである。


第2は、登録業務を行うための財政的基盤が法令で保障されていないことである。

特別会計とされている自然研の登録業務の支出は、登録手数料のみでまかなわれており、公的資金は投入されていない。もし、厳しい審査によって登録数が少なくなれば、収支は赤字になり、自然研はその一般会計から補てんせざるを得なくなる。実際、登録業務は2011年度まで赤字であったが、2012年度からは黒字になった。それは、象牙の登録数が急激に増えたことと、法令で象牙の手数料が値上げされたことによる。この財政システムをみると、日本の法令は、登録機関に象牙の合法性を厳格に確認させるよりも、効率的に登録を促進することに重点を置いていると理解できる。日本政府は自然研がに対して、象牙の登録手数料に依存することなく中立公正な登録業務が行えるよう、法改正して財政措置をとる必要がある。」

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