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2015年10月15日 (木)

10月10日(土) 井の頭公園 ヤマネコ祭 ミニ講演 戸川久美先生

Dsc_0087 講師:

戸川久美

JTEFトラゾウ保護基金 理事長

 

 プロフィール:

1997年よりNGOにてトラ保護、ゾウ保護の為の活動に参加。より積極的に保護活動を展開したいという思いより2009年にJTEFトラゾウ保護基金を新設、現在に至る。

 

 講演内容: 「イリオモテヤマネコ発見50年これからの50年」

 

今回のミニ講演では、イリオモテヤマネコの発見までの略史、保護保全活動、将来へ提言を中心にお話を進めました。 午前中の羽山先生の講演に引き続いて会場はほぼ満員でした(50名~60名)。 

 

1. イリオモテヤマネコ発見までの略史:

 

戸川幸夫氏によるイリオモテヤマネコ発見経緯詳細は以下Wikipediaをご参考下さい。

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%A2%E3%83%86%E3%83%A4%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%82%B3#.E7.99.BA.E8.A6.8B.E3.81.AE.E7.B5.8C.E7.B7.AF

 

今回のミニ講演では以下内容にも言及しました。

 

19653月: 戸川幸夫氏が獲得したイリオモテヤマネコの一つの頭蓋骨と2枚の毛皮が日本哺乳動物学会(現:日本哺乳類学会)で精査された。哺乳類としては20世紀で初めての発見として国内外の注目を浴びるようになりました。

 

1965415日: 西表島ではヤマネコ発見の日として快挙を祝しました。

 

196555日: 大原学校でイリオモテヤマネコが捕獲されましたがその後すぐに死亡してしまいました。イノシシ狩りで傷ついていたようでした。毛皮はホルマリン漬け骨は土に埋めて戸川氏が引き取りに来るまで大原小学校に大事に保管されていました。その時対応して下さったのは島袋先生でした。(ビギンの島袋君のお父様)。

 

1967年~1969年: 1967年にやっとイリオモテヤマネコが生きたまま捕獲されました。オスとメスの二匹です。国立科学博物館に移管されるまで2年間の長きに渡って戸川家で飼育しました。

 

天然記念物且つ絶滅危惧種の野生動物を自宅で飼育しながら生態観察も行ったご家庭は日本国内では戸川家だけと思います。野生だけにイリオモテヤマネコの臭いは強烈であった。愛情を注いだ手厚い飼育により南国育ちのネコであっても二年間の間に雪にも慣れた。戸川氏がヤマネコの為に準備した生餌のヒヨコが忍びなく学校で友人に分けた、等々・・実際に身近で体験した人でなければ決して分からないお話をしました。

 

1972: 沖縄が本土に復帰、イリオモテヤマネコは国の天然記念物になりました。

 

1973: 1969年から着工していた西表島の東部と西部を横断する道路の建設が中止になりました。この頃から自然保護か島の開発か?という現在に続く問題が島民の間で取り沙汰されるようになりました。そのような折、エジンバラ公(現イギリス女王のご夫君)からイリオモテヤマネコ保護に関する親書(注1)が皇太子(現 平成天皇)に届けられました。これにより日本政府は西表島を鳥獣保護区に指定しようとしました。しかし、当時は島の経済活動をより重要視するべきと考える住民の猛反対に遭って実現しませんでした。鳥獣保護区(国立公園)となったのはそれから13年後でした。

注1 新書の内容:「西表島は狭すぎ、全生態系は脆弱で数百人以上との共存は不可能」

 

1972年を境とし、イリオモテヤマネコ発見者の戸川氏と島民のご縁は一旦切れてしまいます。それから約30年間余「保護」と言えば島民から怒られるような状況が続きました。ヤマネコのために自然を保護すれば道路工事の中断などが起こり人間の暮らしの発展が遅れてしまうため、人間とヤマネコどちらが大事なのかという怒りを住民達は持っていました。

 

2007年~: その後は地道に地域との関係を再構築しながら、やっと島民の理解が得られるようになりました。島民の皆様の協力と理解を得て、現在JTEFではヤマネコパトロール隊、授業による啓蒙活動、島内の環境保護保全活動を進めています。

 

2. 保護保全活動:

 

イリオモテヤマネコ保護保全を行う為、西表島現地でヤマネコパトロール隊が活動をしています。ロードキルで死亡するイリオモテヤマネコを一匹でも減らす為に夜間パトロールを実施しています(夜間時間帯1930-2230)。島民、観光客、バス等ドライバーに対してスピード抑止の警告を発します。同時にイリオモテヤマネコが道路に飛び出さないように注意を促しつつ、路上で見つけたら路上からの排除も行います。(以前として西表島ではイリオモテヤマネコの死亡事故の方が人間よりも多いのには驚きです)

 

パトロール隊は20名ほど全てが島民の皆様です。仕事の合間をぬって、ご家族、カップルなどで、精力的に活動されています。

 

走行中の車両スピードはスピードガンで測定をしています。 これまでパトロール隊が蓄積したデータによると、スピードを出すのはレンタカーではなく地元車が多いとの事です。また、道路沿いで子育てをした母ネコがおり(道路上の死骸を食して)その後その子供達が道路に出てくる傾向があるのかもしれない、との事です。

 

3.将来への提言:

 

観光客がこれ以上増加した場合、イリオモテヤマネコの保護保全はどうするか?イリオモテヤマネコは自然の中で見てもらうのが一番良いが、ナイトツアー等がヤマネコにとってストレスにならない事、ヤマネコが生息する生態系を破壊しない事、という条件付きとなろう。それらをどうやって担保できるのか?今後も島民、自治体、全ての関係機関を含めて更に熟考が必要と思えます。

 

4.参加者からのQ&A

 

イリオモテヤマネコの生態に関する質問を受けました。Photo3_2


 

 基本的に何でも食べます。ウリボウ、ヘビ、カニ、魚、エビ、コウロギ、カエル等、総じて肉食。ハブは毒素を省いて食します。 尚、西表島にはマングースはいません。

 イリオモテヤマネコは、カワウソのように尻尾を基軸にして泳ぐそうです。

講演で使用したスライドです。ご覧ください

http://www.slideshare.net/pr_marketing/20151010inogashira-iriomoteleopardcat-presentation

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