JTEFのツイッターの中で、「第17回 ワシントン条約締約国会議」に関するツイートをまとめた記事です。
9月23日
ヨハネスブルクに着きました。ワシントン条約締約国会議が行われるコンベンション ・センターです。
ホテルでは、どのように議論が展開されていくか、早速NGOの間で情報交換が始まっています。
9月24日
ワシントン条約締約国会議が30分後に開幕します。ゾウ、サイ、ライオン、センザンコウ、サメ 、
オウムガイなどなどさまざまな絶滅危惧種の国際取引について議論が展開されます。
写真は 、グローバルマーチ。日本でも上野公園で開催されてます
CoP17が開幕しました。南アのズマ大統領らの挨拶の後、スキャンロン事務局長が挨拶しましたが、
厳しい状況にある野生生物として、ゾウ、サイ、センザンコウ、サメ類、コクタン等の木材種をあげ、
国際的に組織化された野生生物犯罪の深刻化を指摘
24日の会議は専門委員会報告などルーティンが主。一方、記者会見やサイドイベントが盛ん。
「冷静にアフリカの声を聞け」という会見をナミビア、ジンバブエ、南アフリカの3国が開催。
ハンティングしたトロフィーの輸入規制に不満をぶちまけた。
9月25日
ナミビア、南アフリカらの「決起集会」では、象牙の国内市場閉鎖に対する猛烈な批判にも及んだ。
ゾウは農作物を荒らし、人身被害も起こす危険な動物だ。象牙取引によって金にもならぬなら、人々は生息地を牛の牧場に変えてしまう。
ゾウは自ら象牙を売って生き残るしかないという論理(日本政府も賛同)
南アフリカ共和国は、独立前から白人大地主が広大な土地を所有、野生動物牧場を経営。
サイを売り物にする牧場主はサイ所有者協会を組織。主なビジネスは富裕層にハンティングさせることだが、サイ角の国際取引も熱望している。
自然死個体の角と言うが、ハンターに不人気の小さなサイの換金が目的では?
クロサンゴ・アカサンゴについての審議が行われています。日本は「サンゴについてはワシントン条約は何の役にも立たない、
なぜならサンゴはあらゆる場所で密漁され、小さな漁港に運び込まれるからだ」という。
海生種について全面的に国際取引規制を拒絶する姿勢がありありと表れている
9月26日
象牙の国内市場閉鎖を求める決議案の審議が2時間後に始まります。
29のアフリカ諸国+米国+大多数のNGOが強い意志で臨みます。日本政府は強行に反対。
ワシントン条約は輸出入だけに関わればよく、各国の市場に口出しすべきでないと徹底的に「門前払い」を求める方針。激しい激突になります。
ゾウに関する審議が始まりました。まず、密猟監視プログラムからの報告が行われました。
2015年も2014年とほぼ変わらない深刻な密猟が続いていることが指摘されました。
密猟数は2006年には9000~2万6000頭だったのが2013年には1万7000~3万7000頭が殺されたとのこと
密猟監視プログラムの報告では、1999年に日本に、2008-9年に日本と中国向けに行われた象牙の1回限定販売は、
密猟の激化と直接の因果関係はないという結論。事務局は1回限定販売の失敗を認めたくないのだ。
これに対しケニアは、密猟激化の時期が一致しており、関係があるのは明白だと反論。
続いて、イスラエルのビルクラークさんが発言。一回限定販売が関係ないというが何が原因か何も語らない、
その中で毎年何万頭も殺されていると追及。ビルさんはJTEFのアフリカゾウプロジェクトの協力者。
NGOは、密猟監視プログラムで収集されたデータの分析に過りがある、公開して第三者的な研究の評価を受けるべきと指摘。
事務局は消極。が、会場には限定販売が失敗だったのではという雰囲気が漂う。
一回限定販売と密猟増加とは直接関係ないという事務局の主張には、今後ますます厳しい目が向けられる
次に報告されたのは、ゾウ取引情報システムの報告です。これは各国から提供された象牙押収データをトラフィックがまとめたもの。
一回限定販売と違法取引の増加は直接関係ないとの結果に対しては、間違いだという研究報告が会議に出されたが、トラフィックは間違いを一切認めなかった。
いよいよ国内象牙市場閉鎖の決議案(ケニア、ガボンら)の審議が始まりました。ニジェールがアフリカゾウを密猟から守るために市場閉鎖に協力してほしいと訴えた。
続いて、米国も提案を説明した。オバマ大統領と習近平国家主席も市場閉鎖に合意。アフリカの生態系を損なう象牙国内取引を止める必要あり
ゾウ関係の提案の趣旨説明が終わったところで、議長は討論に入らず作業部会設置を提案。
締約国がコンセンサスに達するような修正案を練ることをいとしたものだろう。
これに対してナミビアが議事進行に異議を申立。国内象牙市場閉鎖閉鎖は条約の目的を超える、作業部会で議論するのは時間の無駄と主張。
長々と異議を述べるナミビアに議長が正式な異議かと質問。ナミビアが肯定したため、それに賛成するスワジランド、
市場閉鎖は条約の守備範囲を越えるものではないとして、ナミビアに反対するイスラエル、ケニアの意見を聞き、
決議案の検討を作業部会に付す議事進行に関する投票が行われた。結果は?
ナミビアの異議は否決され(日本はナミビアを支持)、国内市場閉鎖決議も含め、審議が続けられることになりました!今、作業部会の編成が進んでいます。
国内象牙市場閉鎖を審議するなというナミビア提案に対する投票結果は反対57
賛成31。市場閉鎖を審議すべきとの意見が3分の2に迫り。 しかも、投票国の中に(動議に対する投票なのに)市場閉鎖に対するものと間違えて投票した国もあった事を考えれば3分の2を超えていた可能性がある。
つまり市場閉鎖を求める決議の採択に向けて大きく前進!
午後の審議もゾウの議題。「(象牙取引再開)決定メカニズム」(DMM)についてだ。
CITESは、2007年に一回限定販売を許すと同時に、附属書2に掲載されているゾウの象牙のさらなる取引再開提案は2018年までペンディングにした。
その期限が来たときの準備としてDMMが提案された。
南部アフリカ諸国は2018年までのモラトリアム解除後、即象牙輸出をしたい。
DMMが採択されれば、締約国会議で長々議論しなくても、スッと取引再開決定を得られると目論んでいた。無論、日本も。
が、激しい密猟が明るみになるにつれ、将来の取引再開手順を議論している場合か?という情勢に。
そのため、9年経ってもDMMについて
は意見の対立が続き、全く進展がない。今回の会議では、合意の見込みのないDMMの議論を完全に止めることが提案されている。
今討論が行われているが、多くのアフリカ諸国が、象牙はゾウのものだ、DMMは不要と発言。今さら、「取引再開手順」もないだろう。
DMM(象牙取引決定メカニズム)の討論は、野生動物の資源利用と取引再開を求めるナミビアの事業者団体、
地域住民の共有地管理団体が野生動物を資源利用できなければ、それらは絶滅させられてしまうと発言し、
南部アフリカの人々、業界関係者が拍手喝采。 次に自然保護団体が発言し、拍手合戦に。
数多くの政府代表、非政府組織が発言したが、ついに決着をつける時が来た。投票である。
投票の結果、DMMを中止する決議案は否決された。これでまた、象牙の国際取引再開の手順の議論が続けられていくことになった。
ナミビアや南アフリカの多様な団体が発言して盛り上げた影響もあったかもしれない。
投票結果を見ると、EU諸国の反対が大きく影響した。元々、DMMは、2007年にEUが提案したものだったため 自ら葬ることはできなかったのだろう。
続いて、ナミビア、南アフリカ、ジンバブエ提案の「条件がみたされれば輸出入国の自己判断で象牙取引をできるように」DMMを検討する提案だ。
輸出入国が自己判断で無制限に象牙取引できるようなDMMを検討するよう
常設委員会に求める南部アフリカ諸国の提案は圧倒的多数によって否決された。
DMM最後の投票は、事務局提案になるもので、DMMを検討することを常設委員会に命じる決定を期限延長する提案についてである。
可決されれば、次回CoP18までに、常設委員会はDMMを検討せざるを得なくなる。
投票結果は、圧倒的多数で否決!
これで不毛なDMMの議論はとりあえず止まることになった。
これで象牙の「国際」取引再開は、また遠のいたのだ。
今日 、象牙取引をなくす上で重要な前進が2つになった。
JTEFは、今回の会議に向けて「The Last Ivory Ban Haven 最後の象牙禁止回避地」という題名のレポートを用意した。
その中で、「国内象牙市場が違法象牙の隠れ蓑になることを抑止する日本の法制度:9つの抜け穴」を明らかにしている。
今日の象牙関係の審議が始まった頃、このJTEFのレポートを会場前の資料配布テーブルに置いた。政府代表などに持っていってもらうためだ。
ところが、人があまり出入りしない時間に全部なくなってしまった。過去の会議でも何者かにごそっと取っていかれ、ごみ箱に捨てられたことが思い出された。